本付録には以下のクライエント・ワークシートが含まれる:
クライエント・ワークシート 1 【毎日の予定とプランナー】
- 今日はクリニックに来院する日ですか?予約は何時ですか?
- 何時に朝食・昼食・夕食をとりますか?
- 今日は仕事または学校へ行きますか?そこでしなければならないことは何ですか?
- 12ステップあるいはその他のセルフヘルプミーティングはいつですか?
- 運動する時間はいつですか?
- リクリエーションや余暇活動の予定を立てましたか?
クライエント・ワークシート 2 【外的引き金と誘発因の同定】
覚醒剤への引き金というのは、あなたの生活の中で覚醒剤使用を思い出させ、薬物への渇望を引き起こすものです。以下は、人・場所・出来事・物・活動などのリストです。これらについて、どれ、または誰の周りで覚醒剤を使用することが多かったかを、チェックしましょう。各リストの中で、あなたの覚醒剤使用ともっとも強く結びついているものに○をつけましょう。
クライエント・ワークシート 3 【内的誘発因の同定】
覚醒剤への引き金には、薬物への渇望を誘発する特定の気持ちや、感情も含まれます。以下は、感情、気持ち、状況のリストです。これらの中で、過去にあなたの覚醒剤使用と結びついていたと思われるものをチェックしましょう。各リストの中で、あなたが一番悩まされているものに○をつけましょう。
- 覚醒剤使用直前は、どんな気持ちでしたか?
- 普通覚醒剤使用直前は、どんな気持ちでいたいですか?
- 過去数日間で、覚醒剤を使用した、あるいは使用したくなったとき、どんな気持ちでしたか?
クライエント・ワークシート 4 【引き金および誘発因に対する実行プラン】
覚醒剤使用は、特定の人、場所、活動、行動、気持ちなどと結びつくようになります。これらは、あなたの過去の覚醒剤使用のリマインダーとなります。これらのリマインダー、あるいは引き金についてまったく知らないままでいると、これらは徐々に膨らんでいって覚醒剤使用について考えたり、渇望したり、最後には実際に使用するようになってしまいます。しかし、この過程を予防することもできます。
外的誘発因の多くは、避けることができます。すべての誘発因は除去することができます。しかし、誘発因を無視しようとすると、それらはかえってふくらんで、渇望につながることになります。これらの引き金や名残に直面するのを避けるための、そして、もし直面してしまったら、それらが誘発因や渇望へふくらむのを防ぐための、実行プランを作成しななければなりません。
- 目の前の出来事や状況が覚醒剤渇望への誘発因になるような気がしますか?その場合は、できるだけその出来事や状況を避けましょう!
- あなたは今、覚醒剤について思い出すような状況や出来事の中にいますか?そこから離れることはできますか?できるなら、今すぐ離れましょう!
- あなたは、覚醒剤について考えてしまうような状況にはまっていますか?もしそうならば、心のスイッチを切り替えるように想像してみましょう。 スイッチを「オン」から「オフ」に切り替えて、薬物に関する考えを消してしまうことを想像しましょう。その場合、薬物の代わりに心に浮かべるものを、用意しておきましょう。
- あなたはたった今、覚醒剤使用について考えるような、または渇望を刺激するような状況にありましたか?もしそうならば、すぐに実行してください!12ステップのスポンサーかカウンセラー、薬物不使用の友達に電話しましょう。短い散歩をしてみましょう。それとも少し身体を動かす運動か、リラクゼーションをしてみましょう。また、次回の12ステップ・ミーティングに必ず出席するように予定を組んでください。
- 覚醒剤使用について考えてしまうような状況から逃れられない様子を想像してみてください。覚醒剤について考えるのを止めるために、具体的にどんなことをしますか?また、その状況から離れた直後、あなたは何をしますか?
- 覚醒剤使用について考えてしまうような状況から、今さっき逃れてきたと想像してください。今、あなたは覚醒剤使用について考え、渇望を感じています。具体的にどんな行動をとりますか?
- 上の例で、職場にいるときに覚醒剤について考え渇望を感じたとします。あなたは、具体的にどんな行動をとりますか?
- 同じように、現在午後6時で、覚醒剤について考え渇望を感じているとします。あなたは、具体的にどんな行動をとりますか?また、もし午後11時だとしたら、具体的にどんな行動をとりますか?
クライエント・ワークシート 5 【回避戦略の実行プラン】
覚醒剤使用を中止は、止めたいという気持ちと決意だけでは実現しません。そこには、実行と行動が必要です。もっと具体的にいうと、あなたに覚醒剤使用を思い出させるものと遭遇する確率を減らすための、具体的実行プランが必要なのです。
あなたのいる環境には、覚醒剤使用を思い出させるものがたくさんあるので、それらを避けるための具体的な行動を取ることが必要です。これらの行動の中には、一見すると不必要に思われるものもあるかもしれません。しかしこれまでの経験から、あなたに覚醒剤使用を思い出させるものを減らすことは、薬物について考えることや誘発因、渇望を減らすことが証明されています。
薬物と関連する用具を処分
- どんな薬物があなたの手元に残っていますか? 覚醒剤の準備と使用にどんな用具を使っていましたか?薬物を使用するときどんな物(ポルノ雑誌やビデオ、娼婦/男娼の電話番号など)を利用していましたか?
- これらのものを集めて処分するのを手伝ってくれる物質不使用の友人や家族はいますか?これを今日実行できますか?カウンセリング・セッションあるいは12ステップ・ミーティングの直前に実行することは可能ですか?
覚醒剤使用者との接触を絶つ
- 誰と一緒に覚醒剤を使用していましたか?誰から覚醒剤を手に入れていましたか? これらの人々の電話番号はどこかに書いてありますか?それとも電話に記憶してありますか?ディーラーや使用者との接触を絶つのに、具体的にどうしますか?家族や恋人に覚醒剤使用者はいますか?その場合、彼らが使用しているのに、あなたは使用しないために、どんなプランがありますか?
ハイリスク地域を回避
- どの地区、通り、家あるいは場所が特に覚醒剤使用や入手と結びついていますか?職場や治療プログラムへの通り道など、あなたの日常のルートにこれらの場所は含まれていますか?これらのハイリスク地域を避ける方法はありませんか?そのためにどんな具体的なプランがありますか?
対決に備える
- あなたに薬物を提供する人と遭遇することもあります。薬物を拒否してその状況を離れるために、どんなことを言えばいいのでしょうか?
クライエント・ワークシート 6 【感情、思考、そして行動】
あなたが覚醒剤を使用するとき、ものごとの収拾がつかなくなる傾向があります。思いがけないほどたくさんのお金を使ってしまう、考えていたよりずっとたくさんの薬物を使用してしまう。そしてその薬物使用によるマイナスの影響を経験することになります。あなたもこのために、きまずい思いや恥ずかしい思い、そして罪の意識を感じたことがあるでしょう。これらの感情も、一般的な嗜癖過程の一部です。これらの問題に対処するためには、あなたが1日1日を乗り越えていく助けとなる特定の行動パターンをつくりましょう。
- 感情: 恥や罪悪感など激しい感情に対処しなければならなったため、あなたは自分の感情を閉じ込めてしまったかもしれません。自分がどんな気持ちなのかを考えるのを止め、他の人の気持ちを思いやるのも止めてしまったかもしれません。
- 思考: 自分が、本当は好きでやっているわけではない行動パターンにはまり込んでいる、という事実に直面するのが辛いため、あなたは問題なんか存在しない、あるいは他の誰かの問題だ、と信じ込むような思考方法を作り出してきたかもしれません。自分自身と他の人たちに対して、問題があることを否定してきたかもしれません。あるいは、問題の程度を最小限に考えようとしてきたかもしれません。状況に対してある種の正当化を作り出してきた、あるいは他の誰かのせいにしてきた場合もあるかもしれません。
- 行動: 自分が問題を抱えていることを、他人から指摘されるのが辛いため、あなたは、人から遠ざかったり、議論するのを止めたり、怒りを爆発させたり、相手が問い詰めてこないように威嚇したり、という行動をとるようになったかもしれません。あるいは、誰にも邪魔されないよう、一人で過ごす時間が多くなったかもしれません。
再発する可能性のある感情、思考、行動
これらの種類の感情・思考・行動は、物質使用をしているあなたが、生きていくための手段として身につけたものです。これらの手段を、物質使用をしていないあなたが生きていくための健全な手段に取り替えることが必要です。
- あなたはどんな方法で、自分の気持ちを閉じ込めますか?それに関して、どんなメリットとリスクがありますか?これを変えるためには、どうしたらよいでしょうか?
- あなたはどんな方法で、現実を見なくてもいいように、自分の思考を歪めますか?それに関して、どんなメリットとリスクがありますか?これを避けるためには、どんな方法があるでしょうか?
- 辛い感情や現実に直面することを避けるために、あなたはどんな行動をとりますか?それに関して、どんなメリットとリスクがありますか?より健全な行動とは、どんな行動でしょうか?
クライエント・ワークシート 7 【再発許可】
再発はひとつの出来事ではありません。物質不使用の時期の後覚醒剤を使用する、というただの出来事のひとつではないのです。そうではなくて、嗜癖や回復と同じように、再発もひとつの過程と考えましょう。同様に、再発は、どこからともなく、いきなり現れるわけではありません。回復と同じで、小さな一歩から始まって、それが最終的に本格的な再発となり覚醒剤使用に逆戻りしてしまうのが普通です。
これら再発を引き起こす小さなステップのひとつは、覚醒剤使用を再開してもよい理由を作り上げることです。たとえば、あなたは、覚醒剤使用が許されるような特定の環境や状況について空想し始めるかもしれません。
問題は、このような状況についての空想が、あなたを再発の危険が非常に高い状況へと導くことです。あなたは突然、自分が危険な状況にあり渇望や衝動を経験していることに「気づく」のです。幸い、あなたがどのようなときに自分の再発を正当化するかを同定することによって、この一連の出来事を断ち切り、再発を防ぐことができます。
感情に対する自己治療
あなたは、落ち込んだり、怒りや寂しさを感じたり、おびえているとき、覚醒剤を使用したいと思いますか?そのように感じるとき、何を望みますか?次のように考えたことはありますか?
- 「私はこんなに落ち込んでいて、まるで地獄にいる気分だ。覚醒剤をやったってやらなくったってたいした変わりはない。」
- 「私はひとりぼっちだ。覚醒剤をやったって、誰のもわかりやしない。」
- 「仕事が嫌でたまらない。明日も一日やりすごすのには、覚醒剤が必要だ。」
たまたまそうなっただけ
あなたは、選択の余地はない、とか予期もしないことが自分の身にふりかかってくる、というような幻想を抱くことがありますか?自分に向かって、「たまたまそうなってしまった。私が好きで選んだわけではない。」ということはありますか?次のように考えたことはありますか?
- 「古い友達から電話があった。久しぶりに会うことになり、彼が私にコカインを勧めた。」
- 「家を掃除していたら、すっかり忘れていた薬物が出てきた。」
- 「勧められたんだ。なんて言ったらいいのかわからなかった。バーから出ることもできなかった。」
自分以外を責める
あなたは、自分の行動を他人や状況のせいにしているのに気づいたことがありますか?あなたは、誰かに仕返しするために、覚醒剤を使用したことがありますか?次のように考えたことはありますか?
- 「もしも彼女が、いつもしつこく文句ばかり言っていなければ、薬を使うこともなかっただろうに。」
- 「どうして私ばかり我慢しなきゃならないんだろう。あいつは我慢していない。」
- 「どうせ彼女は私が薬をやっていると思っているんだから、本当にやってやれ。」
クライエント・ワークシート 8 【遅延性の覚醒剤退薬】
覚醒剤使用を止めるとき、ほとんどの人がいくつかの問題を経験します。あなたも、とても悲しくなったり、憂うつになったり、非常に疲れて眠いと感じたり、激しい覚醒剤渇望を感じたりして、集中するのがとても難しかったことがあるかもしれません。これらの問題が、覚醒剤使用を急に止めたことに関係しているのに気づくのは、難しくありません。多くの人は、これらは退薬症候群と呼びます。
しかし、多くの人は、これらの症状が覚醒剤を最後に使用してから数ヶ月後に起こりえる、ということを知りません。たとえば、数ヶ月経ってから、悲しくなったり憂うつになったりする人もいますが、抑うつは退薬の最中ほどひどくはないのが普通です。活力がなくなったり、物事についての関心がなくなったりする(無気力症)人もいます。あなたは数ヶ月前に覚醒剤使用を断ったとしても、遅延性の覚醒剤退薬 を経験することがあります。これらの症状は:
- 通常の回復の一部
- 脳の治癒過程の一部
- 一時的
- 耐えることができる
- 回復活動に参加することによって軽減することができる
:ものです。
遅延性退薬のチェックリスト
以下のリストは、遅延性覚醒剤退薬の一部です。あなたは、そのうちいくつを経験していますか?
クライエント・ワークシート 9 【アルコールについてはどうですか?】
あなたは、覚醒剤の問題のため治療にやってきました。そして、覚醒剤の使用をやめることを公約しました。しかし、アルコールに関しては公約していません。特に、飲酒に関する問題を持っていないとすれば、なおさらです。その反面、回復プログラムの人たちや12ステップグループの人たちは、アルコールを含めてすべての薬物の使用をやめるよう、あなたに大きな圧力をかけるかもしれません。どうして飲酒を止める必要があるのでしょうか?
飲酒はあなたの感情や気持ちをおおい隠し、あなたがそれらを十分に経験するのを妨げます。
- あなたは、特定の感情をやわらげたり、避けたり、あるいは自分の感じ方を変えるために、アルコールをどんな風に用いたことがありますか?
飲酒は、覚醒剤への渇望を引き起こします。
- 過去数回にあなたがお酒を飲んだとき、飲酒はどんな風に覚醒剤渇望を引き起こしましたか?
飲酒は、あなたが覚醒剤渇望に抵抗する力を弱めます。
- お酒を楽しもうと思っていたのに、結局は覚醒剤渇望と衝動を経験することになってしまったときについて、記述してみましょう。
飲酒によって、無責任で不適切な行動が引き起こされることがあります。
- あなたはどんな風に、飲酒によって恥ずかしい思いをしたり、性格が変わったりしたことがありますか?
飲酒は、あなたを覚醒剤渇望を誘発する人たち、場所、状況にを結びつけます。
- 飲酒によってあなたはどんな風に、覚醒剤使用に関連する人、場所、状況と結び付けられたことがありますか?
Washton, 1990b より、許可を得て一部編集
クライエント・ワークシート 10 【休暇中の実行プラン】
あなたは、休暇を待ち遠しく思い、楽しい時間を過ごすタイプですか?それとも、休暇が速くすぎればよい、と望むタイプですか?いずれにしても、休暇や特別なイベントはハイリスクな状況になりがちです。
お祝いの時間
多くの人にとって休暇は、楽しい時間や家族との時間を意味します。しかし、休暇は楽しい時間でもあると同時に、アルコールを伴うパーティ、家族との集中した関与、仕事からの解放を意味します。家族や友人たちと時間を過ごしたいという気持ちは、治療や回復ミーティングをさぼるのに、いい言い訳になります。仕事からの解放は、退屈、所在のなさ、孤独の時間にもなります。パーティは楽しいかもしれませんが、覚醒剤そのものと、それを思い出させるものにあふれている場合もあります。全体としては、大変な時期といえます。
悲しみの時間
多くの人にとって休暇は、自分の人生の問題について思い出させられる時間でもあります。クリスマス、[SG1]訳注:
ハヌカ:ユダヤ教の祭り、ちょうどクリスマス付近の8日間にあたる。
クワンザ:黒人の権利運動の中で生まれた、自分たちの民族性と伝統を祝う祭典、クリスマスと新年の間に行われる。 ハヌカ、クワンザなどの家族指向の祝日は、独身であったり、離婚していたり、家族がばらばらになっている人たちにとっては、辛い時間となります。これらの祝日は、子供のころの強烈な記憶を呼び戻すこともあります。これらの祝日や大晦日には、その一年の自分が犯した失敗について振り返る人もいます。全体としては、精神的なストレスが多い時期といえます。
十代のうつ病に関する研究
- 休暇中のパーティでは、アルコールやその他の薬物が豊富に見られる場合もあります。今年は具体的にどんな状況に置かれることが考えられますか?去年はどうでしたか?この問題に対処するために、どんな具体的方法をとりますか?
- あなたの生活の中での回復関連の日課は、休暇中どのように妨げられますか?これに対処するために、どんな方法をとりますか?
- あなたは休暇中、たくさんの家族・親戚と一緒のときを過ごしますか?その場合、彼らはどのようにあなたの回復を妨げますか?あなたの回復関連の日課を強化して、できれば家族にも関与してもらうには、どんな方法がありますか?
- 休暇中、たくさんの家族・親戚と過ごさない場合は、なぜそれが問題になりますか? あなたの休暇中の回復日課を強化するために、どんな方法がありますか?
- あなたにとって休暇は、活動の激しい時期ですか、それとも退屈で孤独な時期ですか?この時期をできるだけ普通に過ごすためには、どうしたらよいでしょうか? どんな種類の回復関連の活動を計画すればよいでしょうか?
クライエント・ワークシート 11 【再発に関するあなたの自己効力感を評価】
回復過程の中で学ばなければならない重要なレッスンは、可能な限りハイリスク状況を避ける、ということです。したがって、回復においてあなたのもっとも重要な目標のひとつは、誘発因、渇望、再発のリスクが高い状況を避ける方法を学ぶことです。しかし、すべてのハイリスク状況を避けることは不可能です。かつてのディーラーや薬物使用の友人に偶然出会うこともあれば、仕事場の誰かに薬物を勧められることもあるかもしれません。
このようにすべてのハイリスク状況を避けることは無理なので、回復におけるもう一つの重要な目標は、ハイリスク状況に対する対処を学び、それらに対しての準備をしておくことになります。この目標には、これらの緊急事態を処理する、あなたの能力を評価することも含まれます。あなたが特定のハイリスク状況を処理して再発を防ぐことができると感じる気持ちを「自己効力感」と呼びます。
一方、あなたがすべてのハイリスク状況に対処できる、あるいはまずは再発を予防するためのスキルや手段を獲得することなしで、ハイリスク状況に対処できる、と考えるのは賢明ではありません。他方では、ハイリスク状況に対処するスキルやテクニックを獲得するのは不可能だ、と考えるのもまた賢明とはいえません。ここでの課題は、あなたが遭遇する可能性のある特定の状況について、自分がどのように処理できると考えるかを評価することです。
- 治療を始めた後で、あなたが出会ったハイリスク状況について述べてください。その状況をどんな風に処理しましたか?その後、どうなりましたか?
- その状況を処理するあなたの能力をどのように評価しますか?あなたは、自信がなく不安でしたか?確信と自信がありましたか?それともその中間でしたか?
- そのときに、どうすればよかったと思いますか?今日同じ状況が起きたら、あなたはどうしますか?以前に比べて、ハイリスク状況の対処に関する学習で、進歩があったと思いますか?
- ハイリスク状況を処理する能力を高めるために、あなたは何を生部必要があると感じますか?
クライエント・ワークシート 12 【あなたの自己効力感を高める】
再発に関する自己効力感は、あなたが、自分は特定のハイリスク状況を処理する能力を獲得したと考えることです。ここでは通常、(1)ハイリスク状況へ行くことさえも拒否する、(2)アルコールやその他の薬物の勧めを拒否する、(3)ハイリスク状況から離れる、(4)別の活動をすることによって誘発因を振り払う、(5)スポンサーや回復過程にいる友人と話をする、(6)12ステップまたは回復ミーティングで状況を処理する、ための具体的な実行プランを持つことが必要となります。
現実の経験だけでなく、ロールプレー・エクササイズを通じても、あなたのハイリスク状況処理に関する自己効力感を高めることができます。自信過剰でもっとツールを獲得する必要がある、を気づくかもしれません。または、思ったよりも多くのツールを獲得していたことに気づくかもしれません。
ロールプレー・エクササイズ
下記のロールプレー・エクササイズでは、カウンセラーが「相手」を演じます。各エクササイズの中で、上で述べたような実行プランの段階を考えてみましょう。そして、自分が本当にその状況にいると想像してみましょう。
- 電話が鳴っています。今午後6時です。あなたがいつも覚醒剤を手に入れていた人からの電話です。彼は、あなたが何か必要ではないかと思い電話をした、といいます。これまであなたは、彼に覚醒剤の回復過程にいることを話していません。
- 電話が鳴っています。あなたが数ヶ月の間、一緒に覚醒剤を使用した友人からの電話です。あなたは彼に、覚醒剤使用を止めたことを話ましたが、彼はまだ使用していることもわかっています。彼は、一緒に近所のバーに行って月曜夜のフットボール・ゲームを観よう、と誘います。
- あなたの隣の住人が、大学卒業を祝うささやかなパーティを開いています。あなたは招待を受け入れました。パーティで、あなたがよくは知らない近所の人が、少し「散歩」に出てマリワナを吸わないか、と誘います。
自己評価
各ロールプレー・エクササイズについて、以下の点をどう感じたか述べてください。
- 効果: あなたは、自分がロールプレー・エクササイズの中で言ったことが現実で効果的だと思いますか?何が効果的だったと思いますか?何について努力が必要ですか?
- 自信: あなたは、このタイプの状況に現実で対処する自信がありますか?どの点について自信がありますか?また、どの点についてはもっと努力が必要だと思いますか?
- 実行プラン: Wあなたは、このエクササイズの中で、どの実行プランのステップを用いましたか?どの実行プランのステップを忘れましたか?
クライエント・ワークシート 13 【ストレス: あなたの危険信号の同定】
ストレス、不安、そして怒りは、あなたの考え方、感じ方に強く関係しています。また、身体的な健康にも強く関係しています。ストレスの体験は、あなたの考え方、知覚の仕方に関連していて、これらは激しい感情的反応を引き起こし、あなたの身体的健康にも影響を与えます。
中でも、ストレス、不安、怒りは危険信号です。これらは、何かが変だという事実を、あなたの身体があなたに警告する手段です。何か変なのかははっきりと伝えてはくれませんが、何らかの変化が必要である、という危険信号なのです。
あなたが覚醒剤使用に関与しているとき、これらの危険信号を無視するのは簡単です。回復での重要な課題のひとつは、あなたの生活の中のストレス、不安、怒りのレベルを低くする方法について学ぶことです。しかしこのためにはまず、自分の危険信号を同定する方法を学ぶ必要があります。この課題を達成するための手助けとして、下の中で、治療を始めてからのあなたに当てはまる項目にチェックしてみましょう。そして、これらのストレス危険信号を経験する直前と最中に、あなたの生活では何があったかを、話合いましょう。
- 不安で、ビクビクして、恐ろしい、怖い、と感じる。いつこのような気持ちを感じますか?
- 起こるかもしれないことについて心配、最悪のことを想像してしまう。何について想像しますか?
- イライラして、不機嫌、気分にむらがあると感じる。どんな日のどんな時に感じますか?
- 回りから刺激を受けすぎてとても疲れるように感じる。いつ感じますか?どこで感じますか?
- 怒りっぽく、不愉快で、戦闘的に感じる。いつ、どこで、誰に対して感じますか?
- 落ち着きがなく、じれったく、そわそわするように感じる。いつ、どんな日、どんな時間に感じますか?
- 筋肉の緊張を経験する。どこに経験しますか?いつ経験しますか?
- 胃痛、腹痛、下痢などを経験する。いつ経験しますか?
- 消耗して、ヘトヘトで、疲れきっているように感じる。いつ感じますか?
- 読んでるものや聞いていることに集中できず、内容についていけない。
- 眠りにつくこと、眠りを保つことが難しい、あるいは眠りが浅い。
クライエント・ワークシート 14 【怒り: あなたの危険信号の同定】
怒りの身体的な兆候
怒りの身体的な兆候はあなたの神経系の一部によって引き起こされるので、無意識に起こります。エピソードの間、あなたはこれらのいくつか、あるいはすべてを経験するかもしれません。これらは一時的なもので、自分自身に冷静になる機会を与えさえすれば、すぐに消えていきます。
- あなたが怒るとき、目の瞳孔が大きく開いて、より多くの光を入れようとします。あなたは、自分が怒っているとき、急に回りが明るくなるような気がしたことはありませんか?
- あなたは腹を立てているとき、自分の心臓が普段より速く、強く打っているように感じますか?
- 自分の呼吸が普段より速く、強くなることを覚えていますか?
- 怒っているとき、血糖濃度が急激に上昇します。あなたは怒りを感じているとき、急に活力が湧いてきて、身体的な活動をしたくなることに気づきましたか?
- あなたがとても怒っているとき、身体はあなたを冷却するために、余分な汗を出します。あなたは自分が怒ったとき、汗をかいたり、手がじっとりしたりすることに気づきましたか?
- あなたは腹を立てているとき、筋肉、とくに顔や手のが緊張するのを感じますか?顔が赤くなりますか?急に暑くなったり、寒くなったりしますか?胃がきりきりしますか?
怒りの感情的な兆候
人は腹を立てるとき、異なる感情を経験します。無力で心細く感じる人もいれば、攻撃的で敵対的になる人もいます。また、被害者になったように感じる人もいます。
- あなたが最後に腹を立てたのはいつですか?そのエピソードの間に、あなたはどう感じましたか?あなたは何を考えていましたか?
怒りの行動的兆候
人は怒りに対して、異なる行動的反応を持っています。怒りを爆発させて他の人にどなったり、殴ったりする人もいます。また、沈黙して一人になるために立ち去る人もいます。
- あなたは最後に腹を立てたとき、どうしましたか?他の人に何をいいましたか?そのときどんな気持ちがしましたか?それについて今はどう思いますか?
怒りと関連する状況
あなたが腹を立てることと、何らかの関連があるように思われる状況を検討するのは重要です。特定のパターンを見つけ、それを避けることができるようになるかもしれません。
- あなたが腹を立てた過去数回を振り返って、そのときどんな状況でしたか?何が起こりましたか?
クライエント・ワークシート 15 【回復に関連するストレスを減らす】
生活は ストレッサー で満ちています。つまり、この世界には、私たちが何かをするように、あるいは規則に従うようにと、ある種類の圧力をかけるものがたくさん存在するのです。そして ストレス は、これらのストレッサーに対する私たちの内的反応です。たとえば、交通渋滞につかまるのはストレッサーです。腹を立て、イライラして、不安になるのは、渋滞につかまったことに対する反応です。そして、これがストレスです。しかし、ストレッサーがストレスの多い経験へと変わるサイクルを止めるためにできることがあります。これらは、あなたの回復の重要な側面になります。
あなたの回復を宣伝
典型的な場合だと、たくさんの人が、あなたが覚醒剤を使用することを知っています。あなたが思っているよりも、たくさんの人が知っているかもしれません。他の人に言わないで治療を受けようとすると、人々はあなたがまだ使用をしているものと考えます。あなたの覚醒剤使用の友人が電話をしてきたり、立ち寄ったり、会おうとして連絡してきたりします。これらは、大きなストレスになります。しかしもしあなたが回復を宣伝したら、これらの人々はあなたに寄ってこないかもしれません。また友人や家族に伝えることは、あなたの回復のサポートになります。こうして、あなたのストレスを減らすことができます。
- あなたが、あなたの回復について言い出せないでいる人たちは誰ですか?どうして言い出せないのですか?この人たちに伝えることによって、どんなメリットがありますか?伝えるために、どんな方法をとりますか?
あきらめることも必要
回復過程にいるということは、グループ治療や12ステップミーティングに参加する、運動をするなど、たくさんの新しい活動を始めることを意味します。1日の時間は限られているので、中には止めなければならない活動も出てきます。目標は、不健全で実りのない日課をあきらめ、健全なものに取り替えることです。したがって、あなたはどの活動をあきらめるのかについて優先順位を決めなければなりません。あなたの毎日の活動に優先順位をつけることは、あなたのストレスを減らします。
- あなたの日課や毎週の予定には、どんな健全な活動を加えるべきでしょう?それらを加えるのに気が進まなかったのはなせでしょう?これらの活動を始めるのに、どのような具体的方法をとるべきでしょうか?
回復過程は一人ではない
回復の特定の段階で、多くの人が自分は一人ぼっちだと感じます。そのとき、過去の過ちや問題に焦点を当てて、憂うつになったり不安になったりしがちです。しかし、回復の焦点は、他人と一緒にいること、他人にあなたの苦労や成功について話すこと、他人が健康を回復した方法について語るのに耳を傾けること、にあります。もうひとつの道は、物理的にあるいは心理的に一人ぼっちでいることです。これは、ストレスになります。他の人たちと共に回復関連の、あるいは娯楽の計画を立てましょう。これは、あなたのストレスを減らします。
- あなたが他の人を締め出して、あなたの回復過程の一部となるのを拒んだ例はありますか?なぜあなたはそうしたのですか?一人ではなく他の人と共に回復をしていくために、あなたはどんな手段をとりますか?
クライエント・ワークシート 16 【問題解決について学ぶ】
覚醒剤使用の現役時代は、人々は薬物関連の問題に圧倒されてしまうことが多くなります。そして問題が消えうせることを願います。しかし、無視したままだと、これらの問題はより悪くなり、大きくなる傾向があります。幸いながら、問題は解決することができます。しかし解決には、実行プランが必要となります。
一度にひとつずつの問題を同定する
覚醒剤関連の問題は、あまりに圧倒的に思われ、強い感情を引き起こすこともあります。一度にひとつの問題に焦点を当てるようにしましょう。
- あなたの覚醒剤関連の問題の中で、どれに対処するのが一番重要だと思われますか?
問題を理解する
- 問題はどのように始まりましたか?何によって悪化しましたか?どのようにしたら、この問題を将来避けることができるでしょうか?
- 問題の本質は何でしょうか?問題を引き起こすのに、あるいは悪化させるのに、あなたは何をしたのでしょうか?
解決の可能性を同定
考えられる限りの解決策、これまでに試したことがないものについて、書き出してみましょう。他の人からアドバイスをもらいましょう。
- これまでにうまくいった解決策をどんなものですか?それらの解決策を用いたらどうなるでしょうか?
実行プランを作成
あなたが、うまくいきそうに感じる解決策をひとつ選びましょう。そして、その解決策を実行に移すためのプランを作成しましょう。何をするべきでしょうか?誰が援助してくれるでしょうか?
- この課題を達成するのに、あなたが必要な具体的な手段はなんでしょうか?
あきらめないこと
あなたが望んだように問題が解決されなかったとき、あきらめてはいけません。どうして解決策がうまく働かなかったのか、考えてみましょう。部分的にはうまくいったけれども、完全には解決されなかった、ということはありましたか?新しい解決策の可能性を探して、また実行プランを作成しましょう。一番大切なのは、ぐずぐずと引き伸ばしたり、問題を無視したりしないことです。
クライエント・ワークシート 17 【あなたの怒りの管理】
人は腹を立てます。これは人生の一部です。あなたも、人生の様々な場面で腹を立てることでしょう。しかし、怒りをもち続けるのは健全ではありません。怒りはあなたを衝動的にし、心にもないことを言ったり、したりすることになります。また、怒りは覚醒剤渇望の誘発因にもなります。
あなたは、回復過程の中でも、腹を立てることがあります。あなたは、深いところにある感情と関連している状況について考えることになります。あなたは、誰にも話し合ったことがない自分の気持ちについて語ることを期待されます。覚醒剤使用のマイナス影響についての認識がふくらむにしたがって、あなたは激しく不愉快な感情を経験するかもしれません。
あなたは、怒りに対処する不健全な方法を身につけている可能性があります。怒りを抑圧して、何でもないようなふりをする傾向があるかもしれません。衝動的に爆発して、他人を身体的あるいは感情的に虐待することによって自分の怒りを表現するかもしれません。それとも、怒りがどんどん積もってあなたを食いつぶすに任せているのかもしれません。しかし、あなたの怒りを管理し、健全な方法で表現する方法を学ぶことは可能です。
ジェファーソン地域の痛み
- あなたの怒りの兆候を同定。
怒りの身体的、感情的、行動的な危険信号な何でしょう? あなたの筋肉は緊張しますか?こぶしを握り締めたり、歯を食いしばったりしますか?あなたはイライラしたり、神経質になったり、短気になったりしますか? - 状況を評価。
あなたはどうして怒っていますか?あなたは現実の状況に過剰反応していませんか?実際には起きなかった状況に対して反応していませんか?あなたは、あることに対して腹を立てているのに、別のことに対する怒りを表現していませんか?あなたは、衝動的で、脅かされているような、怯えているような感じがしませんか? - 徹底的に話し合う。
問題について話し合える人をすぐに見つけましょう。すぐに電話できる人はいませんか?スポンサーや回復の仲間に電話できますか?この時点で次の12ステップあるいは回復グループのミーティングに参加して、これについて話すプランを立てましょう。この問題には含まれていない人を同定してみましょう。 - 冷静になる。
怒りに基づいて行動するよりは、それについて話し合う方が有効です。それについてすぐに話し合える人がいるかどうかは別として、状況から少し離れて冷静になりましょう。怒りに基づいて行動する前に、散歩をしたり、運動をしたり、身体を動かすこと、あるいはシャワーを浴びましょう。 - 応答するのを待つ。
あなたが応答をしなければならないような問題の場合は、あなたの身体的、感情的な怒りの兆候が過ぎ去るまで、応答するのを待ちましょう。.怒りの兆候を感じているうちは、決断をしてはいけません。1時間待つことは可能ですか?1日待つことはできますか?これは、あなたに、考えを整理して選択肢について再検討する時間を与えてくれます。あなたが腹を立てている人物とは、冷静になってから話をするようにしましょう。 - 実行の選択肢を再検討。
あなたの応答が必要とされる場合は、選択肢について再検討しましょう。過去にうまくいったのはどれでしたか?あなたの回復のために最適な選択肢はどれでしょうか?
クライエント・ワークシート 18 【覚醒剤使用に関する選択的記憶】
覚醒剤が、正常な人間の経験では得られないような劇的な陶酔経験を与えてくれることは確かです。これは、人々が覚醒剤を使用する理由のひとつです。あなたも何度か覚醒剤によって、非常に幸福で、自分がこの上なく強力で不死身なように感じた経験があるはずです。
あなたはまた、非常に憂うつでイライラし、怒りっぽく感じた経験が何度もあるはずです。同じように、財政上や雇用上の問題・家族や友人との問題・健康に関連した不安・法的問題など、あなたの覚醒剤使用に関連した悪影響をたくさん経験したかもしれません。
物事のよい面に注目し、マイナス面を軽視したくなるのは、自然なことです。人生の特定の側面については、このルールに沿って生きるのも悪いことではありません。しかし、回復における課題のひとつは、常にあなたの覚醒剤使用によって起こったマイナスの影響を思い出すことです。再発の兆候のひとつは、各政治使用に関連する楽しい時間だけ、特に陶酔経験を選択的に思い出すことです。「戦争体験談」をし、自分たちの狂気じみた覚醒剤関連の体験を強調する人たちは、自分たちにもそれを聞いている人たちにも、覚醒剤への誘発因、渇望、衝動を引き起こしてしまいます。
- あなたは時々、覚醒剤を使用していたころが「どんなによかったか」を空想したり人に話したりしているのに気づきますか?その場合、どんな気持ちがしましたか?その後には、どんな気持ちがしましたか?
- あなたは、誰かが自分のワイルドな覚醒剤使用について、プラス面ばかりでマイナス面は全然含まれない「ドラッグログ [ドラッグ談] 」あるいは「戦争体験談」をするのを聞いたことがありますか?それを聞いてどんな気持ちになりましたか?どうして人々はこういった話をするのだと思いますか?
- 何かに圧倒されるように感じるとき、あまり気分がよくないとき、とても疲れているときなど特定のときに、覚醒剤使用の陶酔効果を生き生きと思い出す人もいます。あなたは、気分がよくないときに、覚醒剤の陶酔効果について空想したり、人に語ったりした経験がありますか?
クライエント・ワークシート 19 【使用をコントロールするという幻想】
回復過程の数週間から数ヶ月になると、あなたは全般的に気分がよいと感じるようになるでしょう。治癒過程は始まったばかりですが、あなたは、いくらかはっきり考えることができるようになり、自分の気持ちをよりよく経験し表現することを学び、問題解決スキルを学んでいます。このとき、あなたの覚醒剤使用のマイナス影響のいくつか、あるいは多くが、消えていく、あるいは軽くなっていきます。
あなたが、覚醒剤使用に戻ることができるかもしれない、という幻想を持つのは、この初期回復段階です。あなたは、もし自分が変化を遂げたとしたら、もう一度覚醒剤を使用できるかもしれない、と考えたりします。自分に向かって、「慎重」にすればコントロールを失わないで覚醒剤を使用することができるかもしれない、とささやくかもしれません。あなたは、自分がコントロールを失うことなく覚醒剤を使用できるかどうかを試すために、「最後にもう一度だけ」覚醒剤を使用してみる時期が来たのではないか、と考えるかもしれません。これらは「使用をコントロールする幻想」と呼ばれます。これらは、再発が間近に迫っているときの典型的な危険信号です。
あなたが「使用をコントロールする幻想」を経験している場合、すぐに実行プランを作成する必要があります。このプランには(1)これらを幻想と認め、この選択肢を否定する;(2)これらを、危険が間近に迫っているという警告として捉える;(3)ただちに12ステップのスポンサー・カウンセラー・回復過程の友人などと話をする;(4)できるだけ早く、12ステップあるいは回復グループのミーティングに出席する;(5)ミーティングでこれらの危険信号について話し合う、などが含まれます。
- まったくマイナスの影響なしで覚醒剤を使用できたらどんなにいいだろう、と考えたことがありますか?
- 覚醒剤に対するコントロールを失わないで使用することができたらどんなにいいだろう、と考えたことがありますか?
- 薬物の量、薬物に費やすお金や時間、覚醒剤が原因の行動などに対するコントロールを最終的に失うことなく、覚醒剤を使用したことがありますか?
- 過去に覚醒剤を使用したとき、あなたが覚醒剤使用の結果として経験したもっとも厄介な問題は何ですか?
- 使用をコントロールする幻想の危険信号に対処するために、あなたにはどんな実行プランがありますか?あなたの実行プランの具体的なステップはどんなものですか?
クライエント・ワークシート 20 【醜いリマインダー】
あなたが覚醒剤を使用していたあの「素晴らしい」日々について考えたり、覚醒剤使用をコントロールできるのではと空想したりすことがあるとしたら、あなたの覚醒剤使用に関しての「醜いリマインダー」とでも呼ぶべきものが役立つかもしれません。これらは、あなたの覚醒剤使用がかなり深刻な悪影響や問題を含んでいたことを思い出させてくれます。
しかし度を越してはいけません。あなたの覚醒剤使用がどんな種類の問題を引き起こしたかを覚えておくことは大切です。しかし、自分に辛くあたるのもよくありません。そうではなくて、選択的記憶やコントロール幻想などの危険信号を経験したときに、 覚醒剤使用の暗い面について思い出すようにしましょう。
- あなたの覚醒剤使用によって傷つけられた人のリストを作りましょう。あなたの覚醒剤使用の結果、損なってしまった友情のリストも作りましょう。友人の名前を書き出し、どのようにその人を傷つけたのかを少なくともひとつは具体的に書き留めます。あなたが、渇望を感じたり使用をコントロールする幻想を空想したり、あるいは覚醒剤使用をしていた頃がどんなによかったかと白日夢し始めたとき、これらのリストを取り出し、そのうちの一人に電話をしましょう。
- あなたには、覚醒剤使用のマイナス影響について思い出させるものが手元にありますか?ここには、 立ち退き通知書、解雇通知書、離婚に関する書類、自動車修理の請求書、借金取り立ての通知書、病院からの請求書などが含まれます。これらのうちのひとつを写真立てに入れて、机の上に置いておきましょう。渇望を感じたり、覚醒剤使用のプラス面について選択的記憶を持ったり、コントロール使用幻想を空想したりしたとき、この「醜いリマインダー」を次の2時間の間、目の前に置いておくようにします。
- あなたが、覚醒剤使用のせいで失ってしまったもののリストを作りましょう。ここには、仕事、昇進の機会、友情、自動車、お金、思い出などが含まれます。このリストを手元に置いておき、渇望や覚醒剤使用についての考えが浮かんできたとき、取り出して眺めるようにしましょう。
クライエント・ワークシート 21 【リクリエーションと余暇活動】
あなたが覚醒剤を使用していたとき、あなたの生活は薬物を入手し、使用し、その影響から回復することを中心に回っていました。同時にあなたの生活は、混乱していて手に負えない状況で、骨組みに欠けていました。回復過程は、あなたの生活の中で骨組みを組み立てて、それを健全ね活動で埋めていくための機会です。
リクリエーション 活動は、通常他人と一緒に、楽しい時を過ごし生活を楽しむために、組織活動に積極的に参加することです。そこには、しらふでのダンス、ボーリング、フットボール、トランプに加えて、スポーツ、美術工芸活動、室内ゲームなども含まれます。身体的運動が必要なものもあります。余暇活動 は、主にリラックスし楽しむことが主な目的で、あまり労力は使いません。ここには、散歩をする、会話を楽しむ、読書、映画鑑賞、スポーツ鑑賞などが含まれます。
- あなたは覚醒剤使用を始める以前、どんなリクリエーション活動を楽しんでいましたか?どんな余暇活動を楽しんでいましたか?それらの活動には、どんないいことがありましたか?
- クライエント・ワークシート 22、「リクリエーションと余暇活動の例」には、リクリエーション活動のリストがあります。その中で興味があるのはどれですか? これらの活動には、どんないいことがあると思いますか?これらをどんな風に、あなたの回復プログラムに取り入れることができると思いますか?
- クライエント・ワークシート 22 には、余暇活動のリストがあります。その中で興味があるのはどれですか? これらの活動には、どんないいことがあると思いますか?これらをどんな風に、あなたの回復プログラムに取り入れることができると思いますか?
- あなたは、何か健全な趣味を持っていますか?クライエント・ワークシート 22 の中に、あなたの関心を引くものはありますか?それ以外にも、個人的に満足が得られそうな活動を何か思いつきますか?
実行プラン
- 次の2週間以内に試してみたいリクリエーション・余暇活動はどれですか?どこに行きますか?いつ行きますか?誰と一緒に行きますか?
- どんな障害があると思いますか?これらの障害を乗り越えるには、何をする必要があると思いますか?
- これらの活動を行うためには、どんなステップを必要としますが?あなたは、活動を組織する手伝いをする必要がありますか?いつ最初のステップを踏み出すことができますか?
クライエント・ワークシート 22 【リクリエーションと余暇活動の例】
リクリエーション活動、余暇活動、趣味はすべて、あなたが楽しい時間を過ごし、他人と一緒に楽しみ、あなたの生活に健全な活動を追加するための手段です。これらによって、あなたは薬のことを忘れ、生活の骨組みを作り、さらに新しいことを学ぶこともできるかもしれません。これらの活動によって、あなたは退屈や落ち着きのなさから逃れることができます。また、ストレスや不安も減らしてくれます。
クライエント・ワークシート 23 【運動と回復過程】
エアロビクスやステップ・エアロビクスなど、激しい運動を定期的にするのを楽しむ人もいます。しかし、健康のためには激しい運動をする必要はなく、早足での散歩やサイクリング、スケートなどもう少しゆるやかな運動でも大丈夫です。また、運動するという目的の運動にはなじめない人もいるようです。その場合、グループでする社交的な運動活動の方が、楽しく感じるかもしれません。ここには、ダンス、テニス、水泳の他に、グループでの散歩、サイクリング、ジョギング、スケートなどが含まれます。
運動には、あなたの身体的健康を増進する、脳の働きを活発にする、睡眠を改善する、活力を提供する、ストレスや不安を和らげる、などのメリットがあります。運動はまた、あなたの生活に骨組みを提供し、体重増加予防にもなります。
- あなたが、定期的な運動を最後に行っていたのは、いつですか?過去には、どんな種類の運動を行っていましたか?
- あなたにとって、もっとも興味があるのはどの種類の運動ですか? 一人でする激しい、活発な運動ですか?他の人と競争するものですか?それとも社交的で穏やかな有酸素活動ですか?
- あなたは運動に何を求めますか?あなたが運動をする一番の目的は何ですか?
- クライエント・ワークシート 24「運動活動の種類」を見ましょう。この中で、やってみようかと思うのはどの種類の運動ですか。どんな運動のスケジュールが、あなたの回復プログラムに取り入れるのに適当ですか?
- あなたが定期的な運動をするのに、どんなことが障害になると思いますか?これらの障害を乗り越えるのには、どんな手段をとるとよいですか?あなたが加入できるような、スポーツグラブや団体がありますか?
クライエント・ワークシート 24 【運動活動の種類】
あなたは、運動活動に参加するたくさんの機会が、身近にあることに気づいているかもしれません。とても田舎に住んでいるのでない限り(たとえそうであっても)、近くには郡や市のリクリエーション部門や地元のYMCA,ユダヤ人コミュニティーセンター、民間のスポーツクラブやジムなどがあるはずです。これらの多く、特に非営利団体後援のスポーツクラブでは、低料金あるいは無料のサービスが提供されています。イエローページの「スポーツクラブ」「エクササイズ」「リクリエーション」欄を見たり、市や郡のリクリエーション部門に問い合わせたりして、地元の情報を獲得しましょう。
クライエント・ワークシート 25 【栄養に関する自己評価】
あなたの覚醒剤やその他の薬物、とくにアルコールは、あなたの食生活に悪い影響を及ぼしたはずです。覚醒剤は、あなたがまったく食事をしていない状態であるときでも、空腹感が満たされたような気にさせて、あなたの食欲を抑制します。覚醒剤によって食欲が人工的に抑制されたとき、あなたはあまり食べなくなり、十分なカロリーと栄養を摂取しません。同時に、覚醒剤はあなたの身体の代謝速度を速めるため、実際はより多くのカロリーを必要とする状態なのです。また、あなたが通常、覚醒剤とアルコールを組み合わせて使用する場合、あなたはカロリーの大部分をアルコールから摂取していることになり、これは「空のカロリー」と呼ばれます。
定期的な食事をしないことに加えて、食事の仕方も悪くなっているかもしれません。たとえば、衝動的に食べるようになったかもしれません。また、食事を取るときには、栄養価がほとんどない食物を食べる習慣ができてしまっているかもしれません。
栄養に関する自己評価
- 覚醒剤をビンジ使用する傾向があったとすると、何日ぐらい連続でビンジしていましたか?覚醒剤ビンジの間は、 通常何日くらい食事をせずにいましたか?食事をせずにいた最長の期間はどれくらいですか?
- 覚醒剤ビンジの間、通常何回くらい中断して食事を取っていましたか?よく中断して食事を取ることを「忘れ」ましたか?
- 覚醒剤ビンジの間や後で、食事をとる場合には、何を食べていましたか?朝食には何を食べていましたか?昼食には何を食べていましたか?夕食には何を食べていましたか?
- 食事をとる場合には、あらかじめ計画して食事を準備しましたか、それとも衝動的に食べていましたか?
- 回復過程の今、あなたはあらかじめ計画して食事を準備していますか、それとも「食べられるときに」食べていますか?
- 今日の朝食は何を食べましたか?今日または昨日の昼食には何を食べましたか?昨日の夕食はどうですか?
- 脂っこいものや甘いものが欲しくてたまらなくなることがありますか?
クライエント・ワークシート 26 【食品指導ピラミッド】
あなたはたぶん、どこかで、毎日の食品を選ぶためのガイドである食品指導ピラミッドについて読んだ覚えがあるでしょう。しかし、それがあなたにどのように当てはまるのかは、考えたことがなかったかもしれません。これらの5つの食品群を見直して、この情報をあなたの生活に取り入れることは、回復の大切な側面となります。規則的に食事をし、これらの食品群の間のバランスがとれた食事をすることは、覚醒剤渇望を減らし、睡眠を増やし、集中力を増加し、退薬関連の不安や抑うつを減少し、回復に必要な十分なエネルギーを提供してくれます。以下では、5つの食品群の基本的な説明と、1日に各食品群を何サービング分摂取すればいいのかについて述べてあります。実際には「1サービング [盛] 」は、かなり少ない量であることを覚えておいてください。
ニッケル水素1989うつ病
果物と野菜
これらは、食物繊維とビタミンの宝庫です。繊維を十分にとることは、便秘を予防します。十分なビタミンは、脳、神経、筋肉、皮膚、骨格の健全な機能を保証します。ビタミンの中には、食品のが持つエネルギーの放出を助けるものもあります。健康な食生活には、毎日3から5サービングの野菜、2から4サービングの果物が含まれます。1サービングというのは、2分の1カップの果物か野菜、小さなサラダ、中くらいのジャガイモひとつ、レタス4分の1という具合です。
パン、米、シリアル、パスタ
これらは、よいタンパク、ビタミン、ミネラル源です。タンパク質は、筋肉、皮膚、血液、骨格の主要成分です。慢性覚醒剤使用によって枯渇する脳内化学物質も、タンパク質からできています。健康な食生活では、毎日6から11サービングのこの群の食品が必要です。1サービングは、パン1枚、2分の1カップのパスタか米、1オンスのシリアルなどです。
牛乳とチーズ
これらには、牛乳、アイスクリーム、ヨーグルト、チーズ、カッテージチーズが含まれます。これらの食品は、カルシウム、タンパク質、ビタミン源です。カルシウムは健康な骨格や歯に必要です。健康な食生活では、これらの食品が毎日2から3サービング必要です。1サービングは、1カップのスキムミルク、1と2分の1カップのナチュラル・チーズ、1と2分の1カップの低脂肪アイスクリーム、1と4分の1カップのハード・チーズなどです。
肉、鶏肉、魚、乾燥豆、卵、ナッツ類
これらの食品は、タンパク質、ミネラル、ビタミンが豊富です。健康的な食生活では、この食品群は1日に2から3サービングに限られます。1サービングは、2から3オンスの鶏肉・魚・あるいは赤身牛肉、卵1個、2分の1カップの調理済み乾燥豆、2分の1カップのナッツ類などです。また、大さじ2杯のピーナツバターは1オンスの赤身肉に相当します。
脂肪、油、甘いもの
これらの食品は控えめに摂取すべきなので、分量の目安は示しません。
- 昨日食べた食品を書き出してみましょう。必須食品群のうち、いくつを摂取しましたか?
- どの食品群を増やす必要がありますか?減らす必要があるのはどれですか?それを実現するには、何をすればいいですか?
クライエント・ワークシート 27 【私の栄養改善ための実行プラン】
覚醒剤嗜癖の人々は、衝動に基づいて行動するようになります。規則的な食事をしなかったり、非常に慌しく食事をしたり、栄養価でなく味だけで食品を選んだりすることが、当たり前になります。決まった食事のスケジュールがなく、食事計画もなく、ハンバーガーとフライドポテトのような高カロリー、高脂肪のファーストフードに過度に依存することが多くなります。しかし、ほんの少しの計画を練ることで、食事が、ただの衝動的活動から回復過程の健全な構成要素へと変化します。
スケジュールを作って、実行をする
慌しく食事を止めるのは重要です。食事のスケジュールを立てることは単純ですが、あなたの1日に骨組みを加えるのにとても有効な手段です。あなたが家族と一緒に住んでいる場合は、食事時間はたとえ短くても、家族全員がそろう時間になりえます。12ステップや回復グループのミーティングなど毎日あるいは1週間の優先事項を整理する時間を持ちましょう。そして、こうした回復のための優先事項と食事と両方を含めたスケジュールを立てましょう。そして、このパターンの継続と更新を決意してください。.
何食分かを計画
最初は馬鹿らしく思えるかもしれませんが、次の数日あるいは週にどんな食事をしたいかを考える時間と取りましょう。ひとつひとつの食事について考える必要はありません。むしろ、次の数日間の食事で、特に夕食で、どんなものを食べたいのかを考えるという程度です。この方法だと、事前に計画をして、それらの食事を作るのに必要な材料を買うだけですみます。
食料品リストの作成
次の数日間にどんな食事をしたいかを決めたら、それらの食事を用意するのに必要な食料品のリストを作成する時間を取りましょう。この作業は、あなたが計画なしで食料品店を歩き回って、衝動的に買ってしまうのを避けるのを助けてくれます。また、お金の節約にもなります。りすとは、朝食用品目、朝食用品目、夕食用品目、スナックに分けることができます。スナックとしては、果物を第一に考えるようにしましょう。
食事の準備を計画
食事の支度や後片付けが好きではない人はたくさんいます。同居人がいる場合は、誰が何をするかを決めることも大切です。話合いで、1人が料理したらもうひとりが後片付けをするというような決め事をするのもいいかもしれません。
スケジュールへの例外も計画のうち
誰でも、時々は外食を楽しみます。あなたにもお気に入りのレストランがあるでしょう。しかし、外食は、覚醒剤使用の期間中に身についた衝動的な行動のひとつである場合も多いのです。したがって、外食をあなたの1週間のスケジュールの中に組み入れることを学びましょう。この方法ならば、外食を健康的な食事スケジュールを守っていることへの褒美、あるいは報酬として捉えることができます。
クライエント・ワークシート 28 【覚醒剤不使用状態に対する行動的同意の例】
これは _____________________ (クライエント)の覚醒剤不使用状態の維持を援助するため目的の_____________________ (クライエント) と ____________________ (臨床家)との間の同意書である。
私は、私のカウンセラーに、24週の間私の尿サンプルを採取するスケジュールを作成することを要請する。私は治療前半の12週間は、毎週月曜、水曜金曜の3回、尿サンプルを提出する。後半の12週間(第13週から24週)には、月曜と木曜というスケジュールで週に2回尿サンプルを提出する。私と同性の臨床職員が、サンプル採取を監督する。サンプルは、コカイン、アンフェタミン、オピオイド系薬物、マリワナ、鎮静剤などを含む様々な薬物の検定をされる。各採取時には3オンスの尿が必要とされる。分析に十分な量が提出されない場合は、予定されていたサンプル提出に失敗したとみなされる。
危急の用で遠くにでかける場合は、出発の前に私の治療者に連絡をする。私の治療者は、こういった不在を __________________________ [重要な他者など] に確認する権限を持つ。私が入院する場合は、私の治療者が病院において尿サンプルを採取する手配を整える。私が入院はしないが病気になった場合は、予定された尿サンプル提出について私が手配を行う。交通機関の問題や天候不良のため来院が困難な場合は、(臨床スタッフの助けを借りて)私が尿採取のため来院する方法を手配する。特定の主要祝日には、クリニックは閉院する。私の治療者と私は、こうした祝祭日の週には尿検査スケジュールを変更することに、相互合意する。
適切な医学的理由により、乱用薬物である薬を処方された場合、私は治療者に、私の主治医あるいは歯科医の名前と電話番号を提供する。私がそのような処方を受けた場合、私は、私の治療者が電話または書簡で私の主治医あるいは歯科医に連絡を取ることに、この書面において同意する。私は、治療者に処方箋のコピーを提供すること、あるいは治療者に処方薬の容器を見せることに同意する。
覚醒剤陰性の尿サンプル
治療の第1週から12週までに覚醒剤陰性の尿サンプルを提出するたびに_______________ ポイント獲得する。私は、覚醒剤陰性サンプルの採取後、獲得ポイントを明記したクーポンを受け取るものとする。このクーポンには、その日に獲得したポイントとともに、これまでの累積ポイント・その金銭的等価が明記される。
治療前半の12週間において、最初の覚醒剤陰性尿サンプルは10ポイント獲得、その後連続する覚醒剤陰性尿サンプル採取について、前回の獲得点プラス5ポイントが加算される。たとえば、水曜日に覚醒剤陰性サンプルを提出し10ポイント獲得した場合、続く金曜日の覚醒剤陰性サンプルでは15ポイント獲得でき、その次の月曜日には20ポイントなる、という具合である。覚醒剤不使用状態を維持に対する追加報酬として、覚醒剤陰性尿サンプルが連続3回採取されるごとに毎週_____________ ボーナスを獲得する。仮に、治療前半の12週の間に覚醒剤陽性尿サンプルが採取されることがなかった場合、______________ ボーナスを獲得する。治療後半の12週間では、この報酬プログラムは違うものとなる。覚醒剤陽性尿サンプルの場合、ポイントではなく_____________ を獲得する。
24週間の治療を通して覚醒剤陰性の尿検査結果が得られると、その直後に以下のことが生じる。 _________________ [プラスの報酬] (第1週から12週)あるいは _____________ [プラスの報酬] (第13週から24週) が与えられる。
覚醒剤陽性の尿サンプル
すべての尿サンプルについて、薬物使用検査を行う。この同意書は覚醒剤に関してのみ有効だが、記録は、陽性が検出された薬物に関するものすべてが保管される。覚醒剤陽性尿サンプルの提出のたびに、私は _______________ [プラスの報酬] を受け取らない。
尿サンプル提出に失敗
事前に私の治療者の許可を得ている場合を除いて、指定の日に尿サンプル提出ができなかったときには、治療者は覚醒剤陽性尿サンプルと同様に扱い、上記の手続きが有効となる。
下記の私の署名は、私がこの尿検査モニタリング過程の条件について、読み、理解し、同意することを認めるものである。この過程については、私は詳しい説明を受け、私がこのプログラムのクライエントである限り、覚醒剤陽性あるいは覚醒剤陰性の尿サンプルを提出する事に伴う結果について、理解していることを証明する。
クライエント・ワークシート 29 【機能分析の構成要素】
機能分析は、あなたが自分の覚醒剤使用について理解することを助けるためのテクニックです。これによってあなたは、将来の覚醒剤使用の可能性を減らすための問題解決法を実行できるようになります。あなたは、覚醒剤使用の直接の原因を同定できるようになります。機能分析は、覚醒剤使用の3つの側面について、あなたが検討するのを助けるための手段です:
- あなたの覚醒剤使用の可能性を増加させるタイプの環境、状況、思考、感情(引き金)
- あなたの覚醒剤使用のプラスで即時的な、しかし短期の効果
- あなたの覚醒剤使用のマイナスで遅れてやってくることが多い効果
引き金
引き金とは、一般的にあなたが覚醒剤を使用するであろう可能性を増やすような環境、状況、人、場所、感情などのことです。これらはあなたに無理やり覚醒剤を使わせるわけではありませんが、その可能性を増やします。
感情と思考
引き金に出会った場合、気持ちがよくなる、楽しくなる、面倒なことを忘れるなど、覚醒剤使用の即時的な効果に関する特定の考えや気持ちが浮かんでくるはずです。そして、覚醒剤を手に入れて使用するために必要な行動について考えるかもしれません。
行動
いったん引き金にさらされ、覚醒剤についての考えや気持ちが浮かび始めると、あなたは特定の行動を取るでしょう。その中のひとつは、覚醒剤を使用することです。しかし治療を通じて、覚醒剤使用を別の対処行動に替えることができるようになります。
プラスの影響
覚醒剤を使用するとすぐに、あなたは、プラスの強力な強化影響を体験するでしょう。これらのプラスの影響には、陶酔感を感じる、活力が湧いてくる、性的欲情が高まる、不愉快な出来事や気持ちを忘れる、悲しみや憂鬱、精神的苦痛などを感じない、などが含まれます。これらプラスの影響は、通常すぐやってきますが長くは続きません。
マイナスの影響
マイナスの影響には、お金を使いすぎる・ハイリスクの性行為に関わる、他人を苛立たせたりけがをさせたりする、仕事や学校をさぼるなどのように、覚醒剤使用エピソードの最中あるいは直後に起こるものもあります。しかし、家族や社会的人間関係、財政状態、身体的健康、教育目標、職業的安定性、法的地位などにおける障害など、マイナスの影響の大部分は遅れてやってくる、あるいは現れるのに時間がかかります。
クライエント・ワークシート 30 【機能分析実施の準備:あなたの誘発因の同定】
クライエント・ワークシート 32、あなたの覚醒剤使用の機能分析、 クライエント・ワークシート 31、機能分析ワークシート を使用する前に、このワークシートを完了しなければなりません。このワークシートは、あなたが覚醒剤使用をする可能性を増加させるような環境、状況、人、場所、思考、感情について同定するのを援助するものです。
- あなたがよく覚醒剤を使用した場所のリストを作りましょう:
- あなたがよく覚醒剤を一緒に使用した、あるいは購入した人のリストを作りましょう:
- あなたがよく覚醒剤を使用した時間や日にちのリストを作りましょう:
- あなたが覚醒剤を使用したときに、よく行っていた種類の活動のリストを作りましょう:
- あなたが誘発因にさらされた後で、感じた気持ちや感情のリストを作りましょう:
- あなたが誘発因にさらされた後で、考えていたことのリストを作りましょう:
クライエント・ワークシート 31 【機能分析ワークシート】
クライエント・ワークシート 32 【あなたの覚醒剤使用の機能分析の実施】
このワークシートは、クライエント・ワークシート 31、機能分析ワークシート と組み合わせて使います。これは、 クライエント・ワークシート 30、機能分析実施の準備:あなたの誘発因の同定 を完了してから使うようにしてください。
第1段階
機能分析ワークシート の「あなたの行動」の欄に、あなたが最近覚醒剤を使用したときの例を簡単に書き込みましょう。.
第2段階
この覚醒剤使用エピソードの直前に、あなたは何をしていたか考えてみましょう。誰と一緒にいたか、何をしていたか、何時ごろだったのか、覚えていますか?これらを「誘発因」欄に書き入れましょう。
第3段階
この覚醒剤使用エピソードの直前に、何について考えていましたか?どんな気持ちだったか覚えていますか?思い出す限りの考えや気持ちを「感情と思考」の欄に書き入れましょう。
第4段階
あなたが覚醒剤使用をした直後に、何が起きましたか?あなたの気分はどんな風に変わりましたか?陶酔感や力強い感じがしましたか?普段よりもエネルギーあるいは活力があるように感じましたか?楽しい、あるいは [使用] 前ほど憂うつではないように感じましたか?何かについて不快に思っていたのが止まりましたか?
第5段階
このエピソードを含めた覚醒剤使用の長期的な影響は何でしょうか?それは、あなたの友人との関係にどのように影響していますか?あなたの家族に対する影響はどうですか?職場あるいは学校の状況に対しては?あなたの財政状況に対しては?あなたの感情状態に対しては?そしてあなたの身体的健康に対しての影響はどうでしょう?
第1段階に戻る
比較的最近の別の覚醒剤使用エピソードについて、考えて見ましょう。1から5までの段階を繰返しましょう。クライエント・ワークシート 31、機能分析ワークシート が埋まるまで、これを繰り返します。
クライエント・ワークシート 33 【機能分析: 重要な考慮点】
あなたにもできる
あなたも、覚醒剤使用を止める方法を学ぶことができます。これまでに、覚醒剤問題を持つたくさんの人たちが使用を中止する方法を学んできました。
覚醒剤乱用は学習された習慣
覚醒剤使用はあなたが学習したものだ、と考え始めることが重要です。学習された習慣なのです。覚醒剤使用を中止する方法を学ぶためには、あなたの覚醒剤使用がどんな風に始まったのかを正確に理解する必要はありません。他の人たち、出来事、環境を責めることは、あなたが中止する方法を学ぶ助けにはなりません。しかし、覚醒剤使用乱用は、あなたにとって対処可能な問題である、ということを学ぶことは有効です。
目的は、使用を止め生活を始めること
この治療プログラムの目的のひとつは、あなたが覚醒剤とその他の薬物の使用を止める方法を学ぶ援助をすることです。もうひとつ同じくらい重要な目的としては、あなたが薬物抜きのライフスタイルを生きる方法を学ぶのを援助することです。覚醒剤使用の中止が実現すれば、あなたは治療から最大のメリットを得ることができるようになります。プログラムとしては、あなたのその他のライフスタイルの改善を援助することに焦点を当てることができるようになるからです。これらの改善は、覚醒剤の長期不使用状態を促進するものです。
つまずきは治療の失敗ではない
誤りは予防することができ、また予防するべきです。しかし、それでも誤りは起こります。あなたが治療中に覚醒剤を使用してしまった場合、それを失敗として見なしてはいけません。むしろ、こうした出来事は、あなたが自分の覚醒剤使用についてさらに学んで、完全に使用を中止する方法をより効果的に学ぶために利用することができます。けれども、これはあなたに覚醒剤を使用する許可を与える、という意味ではありません。
練習が大切
あなたは、治療セッションとセッションの間にこれらの新しいスキルを練習することを学ぶ必要があります。ハイリスクの状況に対処するためには、改善について話合うだけでは十分ではありません。そうではなくて、練習によって学ぶのです。
クライエント・ワークシート 34 【自己管理の計画】
これまでに、あなたは自分の誘発因をいくつか同定してきました。これらを、ハイリスクの場所、人、時間帯、活動、感情、などに分類してみましょう。これによって、外的 で主にあなたの環境(場所など)に存在していている誘発因もあれば、感情や思考など 内的 な誘発因もある、ということを見ることわかると思います。異なる誘発因には異なる反応が必要です。
誘発因の回避
特定のハイリスク場所や人など、避けることができる誘発因もあります。ここには、帰宅するのに別の道筋を選んで覚醒剤ディーラーの家の前を通ることを避けたり、よく通っていたバーやクラブの前を通ることを止めたりすることが含まれます。
環境の再整理
あなたの環境全体を完全にコントロールすることは不可能ですが、たとえば自宅など、あなたがほとんど完全にコントロールすることができる環境もあります。自宅から覚醒剤、薬物使用用の用具、ディーラーの電話番号などを処分しましょう。また、ハイリスク場所の前を通ることが分かっているような場合は特に、現金を持ち歩くのを止めましょう。
新しい対処プランの作成
中には避けられない誘発因もあります。あなたにとって現金や家族の1人が誘発因だとしたら、これらの誘発因はいつも避けられるわけではありません。したがって、こうした誘発因に直面するための準備を身につける必要があります。こういった状況(たとえば、現金に触れた後であなたの配偶者に電話をする)の中でも覚醒剤使用に走ってしまわないように、新しい戦略やプランを作るのです。
クライエント・ワークシート 35、自己管理計画ワークシート を何枚かコピーしましょう。各ワークシートにつき、ひとつの誘発因について考えます。下に示した各段階に従ってください。
段階1
あなたが対処する必要のある特定の誘発因をひとつ選びましょう。次のセッションまでに出遭う可能性が高い誘発因を選んでください。それを「誘発因」の欄に書き入れます。
段階2
どんな方法でこの誘発因に対処できるか、考えてみましょう。避けることはできますか?あなたがこの誘発因に出遭わずにすむように、環境を再整理することはできますか?この誘発因に出遭った場合にあなたが行うことができる、何か新しい対処戦略はありませんか?これらを「プラン」の欄に書き込みましょう。各誘発因につき、複数のプランを持つことは可能です。
段階3
カウンセラーと共に、各プランの全体的な影響あるいは結果についてよく考えましょう。これらを「プラスとマイナスの影響」の欄に書き込みます。
段階4
各プランを実行するのは、どのくらい困難ですか?もっとも困難でない場合はを「1」、もっとも困難な場合を「10」として、各プランの困難さの程度を「困難さ」の欄に書き入れましょう。
段階5
妥当だと思われるプランをひとつ選びましょう。カウンセラーと共に、ロールプレー・エクササイズを行ってこのプランの実行を練習しましょう。
カウンセラーと一緒に上記の段階を繰り返して、このセッション中に最低3つの誘発因に取り組みましょう。また、次のセッションまでに、さらに3つの誘発因を同定してきてください。
クライエント・ワークシート 35 【自己管理計画ワークシート】
クライエント・ワークシート 36 【人間関係の幸福度尺度】
この尺度は、下記の10領域の中で、あなたの人間関係の幸福度を推定するためのものです。各領域を評定するときに、次の質問に自問自答してみてください:この領域について、今日私は自分のパートナーにどのくらい満足しているだろうか?あなたは、現在の幸福感について答えているということを忘れないでください。つまり回答は、あなたが今日どう感じているかを示すものです。また、ある領域についてのあなたの気持ちが、その他の領域での評価に影響しないように気をつけましょう。
クライエント・ワークシート 37 【優しくなるためのリマインダー】
特に覚醒剤使用が関係の一部になっている場合、パートナーの有り難みを忘れるのは容易です。あなたの人間関係の中で習慣となってしまっている否定的な行動を逆転させることは可能です。このワークシートは、そのための簡単で有効な手段について、あなたに思い出させる役割をします。このワークシートは、あなたがパートナーのためにどんなことができるかを思い出させ、これらの行動をあなたがどれくらい行っているかを記録するためです。
Sisson and Azrin, 1989. より許可済み
クライエント・ワークシート 38 【完璧な関係】
下記の各領域について、あなたにとって理想の関係での状態を書き込みましょう。簡潔で具体的な回答にしましょう。また、あなたが肯定的に感じる状態を書きましょう。
「家事」について「私は、パートナーが…だといいと思う。」
「育児」について「私は、パートナーが…だといいと思う。」
「社交活動」について「私は、パートナーが…だといいと思う。」
「自立」について「私は、パートナーが…だといいと思う。」
「個人的な」について「私は、パートナーが…だといいと思う。」
「お金の管理」について「私は、パートナーが…だといいと思う。」
Sisson and Azrin, 1989. より許可を得て一部編集
クライエント・ワークシート 39 【肯定的な要望】
あなた、あるいはパートナーがお互いに対して改善してほしいことがある場合、一番効果的な方法は肯定的なコミュニケーションを用いることです。これは、強く要求したり、ガミガミ言ったり、命令したりする、といった否定的なコミュニケーションによるものよりも、ずっと効果的で気持ちもよいものです。
肯定的なコミュニケーションを行うことはスキルであり、学ぶことができます。また、練習も必要です。初めは不自然な感じがするかもしれませんが、あなたが練習を積み、日常生活の中に組み入れていくうちに自然になっていきます。
要望は、やり方によっては気持ちのいいものとなり、満たされる可能性も高くなります。
わがままもいい
欲張ってはいけませんが、消極的になる必要もありません。どうなったら、あなたは本当にうれしいと感じますか?道理にかなっているようであれば、頼んでみましょう。
相手の立場で考える
相手の立場で考えてみて、パートナーがどう感じているかを理解しましょう。パートナーはあなたが必要だと感じているものを??。または、あなたが不満に思っていることにさえ気づいていないかもしれません。
部分的責任を負う
妥当だと感じたら、現在の状況に関するあなたの部分的責任を受け入れましょう。あなたにとってある状況がどれほど重要なのかを、十分わかってもらうことは不可能かもしれません。また同様に、ある状況が生まれたのには、あなたにも等しく責任があるかもしれません。たとえば、あなたが、パートナーにもっと子供の宿題の面倒を見てほしいと考えているとします。あなたとパートナーの両方が子供の宿題を手伝うことが、あなたにとってどれほど重要なのかを、これまでにパートナーに表現したことがなかったことについて、まずパートナーに気づいてもらいましょう。また、あなた自身も子供の宿題の面倒を見るのに十分な時間を割いていなかったことを、パートナーに認めるようにしましょう。
援助を申し出る
パートナーがあなたの要望の実現をしやすくなるように、援助を申し出ましょう。
可能な限り「Yes」と言うよう努力する
あなたは、パートナーに、あなたがうれしく思うことをするよう頼もうとしているのですから、あなたもパートナーに対して、同じことを快くしましょう。
必要ならば妥協をする
ものごとは、常に白黒つけられるとは限りません。時には、妥協するのが最適な場合もあります。あなたとパートナーの両方にとって何か得るものがある場合は、妥協もいとわないようにしましょう。
クライエント・ワークシート 40 【行動的変化の相互同意書】
この同意書は、あなたが関係の中でプラスの変化を達成し維持するように、援助するために設計されています。治療中、あなたとあなたのパートナーによって要請された相互変化を証明するこれらの同意書を何通か製作するよう要求されます。公約を結んで文書化することによって、あなたは、自分の関係の中でプラス変化の達成および維持に向かって積極的に行動することになります。
私 ___________________________ は、私のパートナーからの要望により、下記の変化を達成するためにできる限りの努力をすることに同意します。私は、この変化が彼/彼女にとって非常に重要であることを理解し、したがって、これは私にとっても重要なものとなります。
行動的変化
私 ___________________________ は、私のパートナーからの要望により、下記の変化を達成するためにできる限りの努力をすることに同意します。私は、この変化が彼/彼女にとって非常に重要であることを理解し、したがって、これは私にとっても重要なものとなります。
行動的変化
この同意書は、新しい同意書が取って代わるか、当事者の一方あるいは双方が参加を終結させた場合を除いて、治療期間を通じて有効となります。
クライエント・ワークシート 41 【コミュニケーションの向上】
パートナーには礼儀正しく
パートナーに話しかけるとき、あなたが見知らぬ人や同僚に対して使うような丁寧な言葉や調子で話しましょう。
肯定的な気持ちを表現
パートナーがしたことについて、あなたがうれしいと感じていることを伝えましょう。うまくいっていないことだけでなく、成功していることを強調しましょう。
何かよいことをする
求められたり、特別な理由がなくても、パートナーが喜ぶようなこと、あるいは特別だと感じるようのことをしましょう。また、これは見返りを期待しないでしましょう。
不満を言う前に、問題の重要性を判断する
不満を伝える前に、その価値があるかどうかを自問自答しましょう。重要だと思えることのみについて、不満を表現します。
適切な時間を選ぶ
前向きな議論ができるような場面と時間を選びましょう。どちらかが腹を立てているときや、急いでいるときは、ふさわしくありません。
目的を心にとめておく
あなたは何を達成しようとしていますか?あなたが求めているのは何ですか?なぜこれらの変化を欲するのですか?それらの変化は妥当、あるいは達成可能のものですか?
不満は具体的に
1度にひとつのことに焦点を絞りましょう。問題に関して、具体的な例を挙げるようにしましょう。パートナーに、どんな風に変化してほしいのかを正確に伝えられるよう、準備しておきます。その問題に集中するようにして、他の問題は持ち出さないようにしましょう。
肯定的なやり方で変化を要請
肯定的なやり方で、あなたが気になっていることと、どんな風に改善してもらいたいのかを、パートナーに伝えます。批判やけなす言葉、動機に関する推測などは避けましょう。
妥協に備える
双方にとって都合のよい解決策の議論に備えましょう。最後通達を宣言したり、パートナーの考えを却下したりしてはいけません。
クライエント・ワークシート 42 【意見の相違と口論】
意見の相違は当たり前
たとえ健全な関係の中でも、意見の相違は関係の正常な側面です。恋愛あるいは夫婦関係にある人たちが、いつでも何にでも同意するとは限りません。
意見の相違でない場合もある
人が意見の相違と考えるものには、誤解、あるいはコミュニケーション不足が含まれることが非常に多いのです。
誤解には予期していなかった反応が関与する
誤解は、あなたがパートナーに伝えようとしているメッセージが、あなたが予期していなかった、あるいは意図していなかった反応をパートナーから引き出した場合に生じます。
誤解には表現不足が関与する
誤解は、あなたが内心を明確に、具体的に、あるいは完全に表現できていないことから、生じることが多いものです。あなたのパートナーが、何を知っていて何を知らないかについて、自分で決め込んではいけません。あなたがなぜ不満を言っているのか、なぜ要請をしているのか、その理由をはっきり告げましょう。
問題はメッセージにあるかも
あなたは、自分が本当に欲していることを言わないことによって、情報を省くことによって、あるいは言語によるメッセージと矛盾する非言語メッセージを与えることによって、自分が意図しないメッセージをパートナーに伝えている可能性もあります。
口論と喧嘩
このアプローチで用いているコミュニケーション・スキルに従わない場合、人々は口論やけんかをすることになります。たとえば、ひとつのテーマに集中できない場合、腹を立てているときや不適当なときに問題を提起した場合、あるいはあまりに批判的な態度でいる場合、議論は容易に収拾がつかなくなり、喧嘩あるいは口論へと発展します。
あなたの喧嘩のパターンを認識する
喧嘩と口論行動をコントロールするための第一歩は、あなたの喧嘩のパターンを認識することです。喧嘩は議論あるいは解決策なしで問題を持ち出すことである、と捉えることもできます。通常、パートナーとの喧嘩に終わってしまうような種類の状況を書き出してみましょう。
回避
めったに口論はしませんが、重要な問題をまったく口にしないことで衝突を避けているカップルもいます。このような状況では、一方が常に折れるか、双方ともが生じた問題を無視することに熟達してしまっているのが普通です。このコミュニケーション回避のスタイルでは、結果的にパートナーの一方か両方が、憤慨したり、釈然としなかったり、大事にされていないあるいは重要でないと感じたりすることになる。あなたとパートナーの両方にとって重要な問題を認識して、適切な時期に要請や不満を表現するための助けとなるような、コミュニケーション・スキルを習得することが大切になります。
回避問題を認識
あなたの関係の中に回避問題が存在することを示すヒントとしては: (1) 関係の中に、衝突がまったくないと信じている、 (2) 味気ないお決まりの会話ばかりで、パートナーと心が通じていない気がする、 (3) 喧嘩になるだけなので、ある種のトピックスを避けている、 (4) パートナーに憤慨していて、相手のために尽くす気になれない、などが挙げられます。
クライエント・ワークシート 43
【十分なリスニング・スキルと不十分なリスニング・スキル】
十分なリスニングは効果的なコミュニケーションを促進
パートナーに積極的に耳を傾けることは、重要です。積極的なリスニングとは、パートナーが伝えようとしていることを完全に理解しようとする努力を意味します。具体的には、パートナーが何を欲しているのか、どう感じているのかを理解することです。パートナーが伝えようとしていることを理解していると感じたら、それを要約して、あなたが正確に理解しているかどうかをパートナーに尋ねてみましょう。パートナーに、もっと詳しく説明してくれるように、例を挙げるように、あるいは違う方法で説明してくれるように頼むこともできます。また、パートナーの現在の気持ちについても尋ねましょう。
パートナーの気持ちの正当性を認める
パートナーがどのように感じているのか、またどうしてそう感じているのかを、あなたは理解できる、ということを相手に知らせるのは重要です。つまり、パートナーの気持ちは、あなたにとって納得できるものだ、ということを伝えるのです。パートナーに同意する必要は必ずしもありません。しかし、相手の考え方は理解できる、ということを伝えましょう。これは、あなたがパートナーのことを大切に思っていて、パートナーがどう感じるかに大いに関心を持っている、というメッセージを伝える重要な方法です。あなたが腹を立てていて、パートナーの気持ちについてすぐに確認できない状態のときは、それができるようになるまで、冷静になる時間を置きましょう。
不十分なリスニングが不十分なメッセージを生む
あなたが十分に耳を傾けていない場合、それは、良好なコミュニケーションを妨げるようなメッセージを送ることになります。十分でないリスニングはパートナーに次のようなメッセージを伝えます:(1) 私は、あなたの意見や気持ちに関心を持っていない; (2) あなたの気持ちなどはくだらないことだ; (3) それらの気持ちを持つのは愚かなことだ; (4) あなたの気持ちは、私が注意を払うに値しないものだ; (5) 私の意見や気持ちの方が、あなたのものより重要だ; (6) 私の意見や気持ちは、あなたのものより妥当である。
不十分なリスニング行動の種類
セルフ・サマライジング [自己要約] は、議論の最中に何度も何度も意見を再表示し続けることです。クロス・コンプレイニング [交差不満] は、パートナーの片方の不平に、その問題を解決しようと努力する代わりに、もう一方が不平によって応答する場合に生じます。マインド・リーディング [読心] は、片方のパートナーが、相手がどう感じているか、あるいはどうしたいのかをあたかも知っているかのようにふるまうことによって、問題が回避されているときに起こります。これは、相手のパートナーに、自分は重要ではない、議論から取り残されているという気持ちと憤慨を与えることになります。イエス・バット は、パートナーが相手に対して、一連の「うん。でも…」というセリフで応答することです。これは、あなたの、パートナーのニーズを変えたくもなければ、かといって実現したくもない、あるいはパートナーの考え方を理解したくない、というメッセージを伝えることになります。キャラクター・アサシネイション [人格暗殺] は、特定の問題行動あるいは領域での変化を求めるのではなく、パートナーの人格全体を攻撃するような要請や批評をすることです。コンプレイニング・ラット [不満のマンネリ化] は、変化や次善策を示すことをしないで絶え間なく不満をいうことと、プラスの行動変化には気づかないことを特徴とする、コミュニケーションのパターンです。
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